導入事例

小田急電鉄株式会社

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終電から始発までの3時間が日々の安全を築く

困難な夜間作業のヒューマンエラー防止と業務効率化をITインフラが支える

 1日の利用者が195万人にものぼる小田急電鉄株式会社。毎日終電後に平均60件もの夜間作業を行い、乗降客や沿線住民への安全と安心を提供している。今回、弊社が担当した夜間作業支援システムの更新について、小田急電鉄 経営政策本部 IT推進部課長代理の前原氏に話を伺った。

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小田急電鉄株式会社

設立 1948年6月1日
所在地 東京都
資本金 603億5千9百万円
事業内容 鉄道事業、不動産業、等
従業員数 3,613名(2013年12月現在)
URL http://www.odakyu.jp/

プロジェクトの背景

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小田急電鉄の鉄道事業概要と、夜間作業について教えてください。

当社は、「小田原線」、「江ノ島線」、「多摩線」の3路線、計120.5km、全70駅からなり、通勤・通学や観光路線としてご利用いただいています。 夜間作業は、線路を一時的に使用不可とする線路閉鎖作業、軌道を走行する保守車両の使用、信号機やポイント切替機などの保安装置の使用停止、通信回線の使用停止などを行っています。

夜間作業支援システムの主な機能をお聞かせください。

夜間作業の申請・管理、承認ワークフロー後の工事と着手作業の進捗状況記録、最終列車確認による安全な作業開始、携帯電話による伝達と登録支援、アクセス不能時の代理処理機能が主な機能です。

夜間作業支援にはどのような課題があったのでしょうか。

最終列車から始発列車までに作業できる時間は、最短の区間では3時間ほどしか確保できません。保安装置も止めた中、暗く見通しや足場が悪くさらに作業時間も短い条件下では、トラブルやヒューマンエラーが発生しやすくなります。 加えて、多くの関係者が情報交換や打ち合わせを重ねなければ進めていくことができません。 このような形態で毎晩行われる夜間作業は、万が一にも始発列車の時刻までに終了できない場合には、当社をご利用のお客さまに多大なるご迷惑をお掛けするリスクをはらんでいます。

今回のプロジェクトにあたり、アイテック阪急阪神を選定した理由を教えてください。

アイテック阪急阪神は、関西私鉄の阪急電鉄と阪神電気鉄道の業務を熟知しており、鉄道事業者の資本の入った日本では数少ないシステムインテグレーターです。その企業が開発を担当した阪神電気鉄道の指令室を見学した際に、刷新された運行管理システムのコストと機能のバランスの良さに驚きました。今回の改善にあたり業務課題をすぐ理解して頂き、共に解決に取り組んで頂ける企業であると分かったことが決め手でした。

システムの概要

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それでは、今回のプロジェクトのポイントをお聞かせください。

まず、インフラの強化を行いました。
これまで運輸司令所内の一画にサーバーを設置することで、万が一の社内ネットワーク障害でも運輸司令所にてほぼ全ての代行処理ができるよう構築しましたが、エラー監視等について脆弱性を改善する必要がありました。
今回は、自社データセンターの構築と、ネットワークインフラの強化を完了していましたので、本サーバー移設を実施することができました。これにより監視レベルが向上し、危機管理体制を強化することができました。

ソフトウェアの機能面はいかがでしたでしょうか。

① 工事監督者変更機能
工事計画は早い時期から立てますので、人事異動などで作業監督者が変更になった場合には、一度中止してから新規の申請を行っていました。これを見直し変更可能にしたことで、申請する職場と手配などを行う運輸司令所双方の計画調整の負担を軽減しました。

② 指令達アンサー機能
予定外の列車運行手配情報である「指令達」は、グループウェアで配信し、電話での受信確認を行っていました。50か所にもおよぶ鉄道関係の職場にとって煩雑な作業で負担となっていましたが、今回、システムから受信確認ボタンのクリックのみで返答できるように改善を行いました。

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③ アクセス方法の改善
既存サーバーからの音声ガイダンスは、確認の時間がかかり、操作性にも難がありました。今回、Webサイト型に変更することで情報確認の短縮化ができ、さらに情報量も拡大しました。

④ 作業中止連絡方法の改善
作業現地到着後に急遽作業を中止するケースでは運輸司令所との煩雑な手続きが必要でしたが、監督者自らが携帯サイトから作業中止の手配を可能とし改良を図りました。

⑤ 最終列車連絡方法の改善
作業開始のために最終列車の状況確認も音声ガイダンスで行っていましたが、確認できるまで何度も操作するストレスと通話料の多さ、そして話中による連絡遅延の発生が課題でした。 確認方法をメールによるサーバーからのプッシュ型に変更したことで、最終列車の確認が容易になり、その結果、作業開始が早まり施工時間を生み出すことに成功しました。

この他にも、ヒューマンエラー防止や後方業務の効率化を図りました。

システム導入の効果と感想

システム更新作業を終えていかがでしたでしょうか。

今回の更新によって、当システムはインフラの面からもユーザーの使い勝手の面からも大幅に改善を図ることができました。
こうした改善は、鉄道事業者にとっては、すなわち安全性や作業効率の向上ならびにヒューマンエラーの防止につながります。そして、最終的にはお客さまにより快適に、より安全に当社線をご利用いただくことにつながると考えています。IT部門として今後も当社鉄道事業に安全と安心を提供できるよう尽力していきます。

夜間作業支援システムの今後について機能拡張などお考えでしょうか。

すでに購入可能なフィーチャーフォンが限定されてきていることから、スマートフォン対応が求められています。今回の設計当時、物理的にボタンを押せるフィーチャーホンが良いなどスマートフォンには現場で利用できない様々な課題があり、見送ったいきさつがあります。しかし、現在では技術的にはめどが立っており、今年度のリリースにむけて取組んでいるところです。
(2014年3月にスマートフォンに対応しました)

作業全体を通して、アイテック阪急阪神についてのご感想をお聞かせください。

メーカーにこだわることなく最適なハードウェアを探し出してくる強みを感じました。主に夜間に稼働するシステムということで開発や運用に際して文字どおり昼夜を厭わぬ対応をしていただきました。その結果、現場からのシステムに対する評価は高く、この場をお借りしてお礼を申し上げます。

貴重なお話をいただき、誠にありがとうございました。

(内容は2013年3月時点の情報です)

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